2012年11月11日日曜日

テラス席で寛ぐボートキーの小粋なイタリアン Enoteca L'Operetta

クラークキー、ロバートソンキー、ボートキーのなかで、最近最も盛り上がっているボートキー。「十番スタンド」、「型無(かたなし)」、「e.pachi(いっぱち)」と、この数か月で日系の飲食店が次々オープンし、ブキパソの人気フレンチ「Absinthe(アブサン)」も先日ここに移転オープンした。
かつては観光客目当ての客引きが目立つ飲食街といったイメージだったが、今では地元のヤッピーたちが訪れるヒップな飲食スポットといった感がある。




ラッフルズプレイスMRT駅を背に、ショップハウスひしめく川岸の道を辿った一番端っこに、 Enoteca L'Operettaはある。オーナー、料理長ともに日本人なので、地元の日本人コミュニティによく知られているイタリアンだ。

週末の息子とのデート、マリーナベイサンズが良く見える テラスの特等席を取っていただいた。




午後6時過ぎ。ちょうど夕暮れ前で川から涼しい風が吹いてくる。テラス席の内装にオーナーの水谷さんのこだわりが見える。かすかに流れる女性ボーカリストのちょっとジャジーな音楽もいい感じだ。




厨房を仕切るのは30代の中原料理長。イタリアで修業をした後、少年時代を過ごしたシンガポールに戻りたいという願いを実現された。 デカダントな内装の店内とは打って変って、「弟にしたいナンバーワン」のような素敵な好青年。前菜は中原さんにおまかせのアンティパストミストをオーダーした。




カッティングボードには、レバーパテ、バーニャカウダ、ムール貝、マッシュルームソテー、ハムが並ぶ。息子のお気に入りはマッシュルーム。




私はバーニャカウダをほとんど一人で。アンチョビのほどよい塩加減。歯ごたえの良いラディッシュが特に美味しかった。




日がちょうど暮れたころ、様子を見に来てくれた中原さんが「子供におすすめ」とおっしゃったボロネーゼのパスタをオーダーした。中原さんは自分にしかつくれないメニュー以外は厨房スタッフに料理を任せ、積極的にホール役を務められる。接客を通じ客の反応を肌で感じるのは、料理長として素晴らしい姿勢だと思う。




少し甘目のソースがさらっとしたタリアテッレに絡みつき、お肉はほろほろと柔らかい。




息子がパスタをとても気に入ったらしく、自分で取り分け、あっという間に平らげた。
私はピッツァも食べたい気分だったが、息子はおなか一杯になったようなので少し寛ぐことにした。オーナー厳選のグラスワインを2杯ほど楽しむ。




夜の帳が降りると、目の前にはこんなにも綺麗な夜景が広がる。右手には1820年に建築されたフラトンホテル、斜め右手にラッフルズプレイスの摩天楼、正面にマリーナベイサンズ、そして左手にかつては劇場だったアジア文明博物館が見える。シンガポールが約2世紀かけてつくりあげた眺めだ。




2歳の時にシンガポールに来た息子ももう7歳。目まぐるしく変貌するシンガポールのなかで、日本では味わえない色んなことを吸収して育ってきた。




これまでほろ苦い経験もあったが、結論として人生は甘い。La Dolce Vitaである。中原さんからデザートの盛り合わせをつくっていただいた。息子のお気に入りはクレームブリュレ。私は何といってもティラミス。甘さ控えめなのが日本人には嬉しい。




ここで私の持論。人の記憶は上書きされる。いくら美味しいものを食べたからといっても、シメが今一つだと、それがそこでの体験の9割位を塗り替えてしまうと私は信じている。和食だったら美味しいお茶、イタリアンだったら美味しいカプチーノかエスプレッソ。これをいただいた後の総合評価が、それまでの評価を塗り替えることが、実はこれまでも多々あった。以前ある有名イタリアンで、シメのカプチーノがあまりにもお粗末だったため、それから他人に勧められなくなった思い出がある。

当店でも最後にカプチーノをいただいた。




「はーと」である。(*^^)v

帰りに息子とボートキーの階段に腰を下ろして、しばらく美しい対岸の景色を眺めた。息子が大きくなっても二人で素敵なデートを続けたい(続けてくれるだろうか・・・)と思う夜であった。

中原さん、そしてスタッフの皆さん、素敵な夜をありがとうございました。

ごちそうさまでした!


Enoteca L'Operetta
78 Boat Quay
Tel: 6438 2482
http://www.enoteca.operetta.sg/




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